自分の健康レベルを調べる方法は数多くあるが、一番簡単な方法は、舌の色を診る事である。
これは、舌診(ぜっしん)といい、鍼灸や漢方でよく使われる検査法である。
舌の細胞は作り変わりが早いので、体調の変化が他の部位よりも早く表れやすい。
体に良い食事をとっていれば、舌はキレイなピンク色である。
しかし、甘いものや油ものばかりを好んで食べていると、舌の色が変わったり、大きくむくんできたりする。
そんな便利な舌診だが、1つ厄介な事がある。
それは経験がないと、自分の舌の状態が正しいのかどうかが分からない点だ。
詳しくは後述するのだが、体に熱が溜まると、舌は赤くなる傾向がある。
経験豊富な鍼灸師であれば、その状態を把握する事は難しくない。
何故なら、その経験の中で、正しい舌の色との比較が出来るからである。
しかし、自分の舌の色を、他人の舌の色を比べた事をある人は少ないと思う。
舌の色が赤いのやら、白いのやら、、
舌診は色の他にも、舌の大きさや苔の状態も一緒に見るので、そのパターンは何通りにもなり、やはりしっかり判断するには、一定の経験が必要になってくるのである。
しかし、何種類か簡単なパターンを知っておくだけでも、自分の健康レベルチェックに非常に有効な方法であるのは、間違いない。
なので今回は、舌診を紹介していきたい。
舌の色を目安に健康レベルを上げて、体の内から綺麗を目指す参考になれば幸いである。
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まず、舌診とは何か。
簡単に言うなら、人を診察する手段の1つである。
舌の色や舌の形や、舌表面についている苔の状態を見て、人の体をおおよそどういった状態なのか判断するものである。
舌の色、舌の形、舌表面についている苔にはさまざまなタイプがある。
一般的に正常な人の舌の色は淡い紅色(薄いピンク色)をしており、また舌表面には薄く白色の苔があるとされている。
しかし、例えば熱があると考えられる人は、舌の色は赤みが強い色となり、舌の苔も黄色みがかったものとなるとされる。
熱がある=赤くなる、赤みが強い。
はイメージもしやすいように思う。
今度は逆でもう1つ例を出すと、赤みが弱い舌の色をしている人もいる。
こういった方は、体の中の脈管を流れる栄養分の必要量が確保できず、赤みが薄くなってしまうということもある。
これもイメージがしやすいと思うが、血の流れが悪かったりすると、その部分の色は赤よりは薄くなりそうというイメージである。
まず、健康や美のレベルが高いとは、どのような状態をさすのだろうか?
美の定義は人によって違うかもしれないが、「美」と聞いてイメージしやすいのは、肌ツヤが良いとか、ボディラインが綺麗など、おおまかな概念のようであると思う。
これは、先述した舌診から健康や美を一緒に考えることも、できるのではないだろうか。
健康で美しい人というのは、肌ツヤが良い人=血色が良く、肌のキメも細かい。
皮膚が適度に潤っていて、肌触りが良いといったことが考えられる。
だが、逆に肌荒れや顔色が悪くなる原因の1つで「睡眠不足」や「夜更かし」はお肌の大敵という言葉を耳にしたことがあると思う。
これは東洋医学的に考えても、あながち間違えではないのである。
舌の色で赤みが薄い色は、脈管を流れる栄養分の必要の量が不足していると述べたが、その脈管の中を流れる血液を押し動かす、血液循環の原動力となるのが東洋医学でいう「心」というものである。
「心」は血液循環の原動力であると共に、読んで字のごとく心=精神活動を司っていたり、心臓といえばまたイメージしやすいと思うが生命活動の維持という作用もある。
この「心」が東洋医学的に「虚」するという状態になると、舌診でいう舌の色の赤みが薄くなるという状態になる。
では、「虚」するとはどういったことなのか。
「虚」とは、疲労すると悪化し、休息すると楽になるような状態を示す。
「心」の血液循環の原動力が「虚」してしまうとどうなるか。
簡単なイメージとしては、血の流れが悪くなった状態である。
心が虚して起こる症状としては、
などがある。
色のイメージとして顔色、唇の色、舌の色、目の結膜の部分の色、爪の色が淡白な色となる。
また、脈に関係しているように、手首の部分で測る脈も細く(血管の幅が狭くなった状態)感じるようになる。
では、健康で美しい人の舌はどういった状態であるか。
まず舌の色が薄かったり、赤みが強すぎるのは違う。
ということはお分かり頂けると思うが、健康で美しい人の舌は、正常であることが大前提である。
舌の色は薄く淡い紅色(薄いピンク色)をしており、舌についている苔も薄い白色をしている。
また舌の形も大きくなったり、常に歯型がついていたり、ひび割れていたりしていないことも重要である。
上記に加え、舌自体の柔らかさ、舌の動きの柔軟性があることも、健康で美しい舌の重要な指標となる。
舌自体が柔らかさを失い、硬くなると東洋医学的に体に熱が溜まっていたり、体の中の水が滞っていることを指す場合も考えられる。
また、舌の動きの柔軟性が少なくなり、舌の動きが不自然、円滑ではないものも、正常とは言えず、上記に記したように体に熱が溜まってたり、体の中の水が滞っていることを指したりする。
まとめると、健康で美しい人の舌は、
以上、大きく4つのポイントを参考にして頂きたいと思う。
足裏マッサージが有名だが、体の一部分から内臓の状態を知る方法がいくつかある。
舌もその1つで、内臓の具合を診るには足裏よりも様々な状態を知り得る事が出来る。
一見、舌は平たいだけで特に表面に分かれてもない為、舌に部位などあるのかと思ってしまう。
だが、舌表面には観察部位として4つに分けられ、各部位につけられている名称がある。
また、東洋医学ではその4つの部位に臓腑が配当するとされている。
では、舌のどの部位がどの臓腑に配当しているのか紹介していきたい。
ここで五臓六腑の中から配当された臓腑の名前が出てきた。
日常的に目にしやすい物もあれば、しにくい物もあると思う。
体に不調を感じた時に、ご自身の舌を見て貰いたい。
どこかの舌の部分に、赤くなっている、荒れている、白くなっているなどの反応が出ているはず。
東洋医学と西洋医学の大きな違いとして、各臓器の働きの違いがある。
東洋医学では、本来の働き。
例えば、肺であれば呼吸を行うところ。
のような働きの他に、「宣発・粛降」という東洋医学独特の働きがある。
宣発・粛降とは、気や血などを体内で巡らせる力の事をさす。
例として、顔がむくみやすいとする。
西洋医学では、水分や塩分、糖分の摂りすぎ。
または、腎臓や心臓に問題があり、むくみやすいと考える。
しかし、東洋医学ではこれに加えて、肺の宣発・粛発の機能に働きが低下していると考える事もあり、巡りが悪い為に顔がむくんでいると考えるのである。
その方では、「脾」と「胆」なども東洋医学独特の考え方がある。
「脾」は、漢字としては実際の臓器である脾臓の脾の字だが、東洋医学的には体の中の水をさばく場所であり、水液と密接に関係しているところである。
「胆」は五臓の中の「肝」と表裏関係にあるもので、胆汁の貯蔵や排泄を行っていたり、決断を司っていたりする。
ちなみに、「胆」が決断を司っているのは胆汁には精が含まれており、精神活動と関係がある為である。そして、この「胆」の機能が悪くなり精神活動に影響が及ぶと優柔不断になったり、オドオド、ビクビクするようなどの症状が起こる。
それぞれ対応した舌表面の部位と臓腑、これらは東洋医学でいう経絡(人体を海だとすると経絡は海流のようなもので全身に流れている)を通じて直接あるいは間接的に臓腑と連絡している。
そのため臓腑が元気な時、調子が悪い時には、その部位に対応した舌の色や形、大きさなどを見ておおよそわかるということなのである。
今回は舌診をメインテーマとして掲げ、そこから舌の色別に健康レベルを考えたり、舌と美の関係や臓腑との関係などを見ていった。
舌診とは最初に述べたように、人を診察する上での手段の1つである。
ただ、その手段1つを少し深く掘り下げてみても、様々な所で様々なものと密接に繋がっている。
今回ご紹介した舌診は、舌診の世界の一端だが、自分や他の方の健康レベルを測るときの1つの手段として、参考にして頂けたら幸いである。
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