肩がずれて、肩の高さや肩の位置が左右で違う。
そういった人を実際に、自分の目で見たことがあるだろうか。
今やメディアなどでも健康をテーマにした番組や特集が多くなり、テーマに沿った症状を持つモデルを様々な検査で分析し、医師がアドバイスをするといった形が多い。
また、姿勢に関しても注目が集まっているため、それこそテレビ番組や本などでも頻繁に姿勢について取り上げられている。
そこでまず、最初に注目されるのは肩がずれる、肩の高さの違いである。
なぜ、ずれている肩の高さが注目されやすいか。
それは、医療資格者や特に身体について学校などで勉強をした人でなくても、見た目ですぐに分かるからである。
また、肩がずれているということは、そのずれた肩を補おうとして肩だけでなく、他の部分にまで影響が出てきてしまうということである。
今回は、
といったところを紹介していきたい。
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肩のずれについて知る上で、まず肩とはどういう構造をしているのかを知っておかなければならない。
肩は主に、大きく2つの骨によって構成されている。
1つは、最近よく知られるようになってきた背中にある肩甲骨。
2つ目は、二の腕の部分にある骨の上腕骨である。
肩とは、この上腕骨の骨(上腕骨頭)が肩甲骨のくぼみ(関節窩)にはまるようにして、構成されている。
肩はご存知のように、可動性が高く様々な動きをすることができる。
例えば、野球選手のように球を投げたり、水泳のクロールや背泳ぎのように肩を大きく回転するような動作など様々である。
そして、その動きに必要なもの。
それは筋肉である。
肩だけに限らず、体のどの部分でも何かの動作において力を出すには筋肉が必要だ。
特に激しい動きをする部分には、その動きに負けないくらい強い筋肉が必要となる。
先述した肩を構成する肩甲骨と上腕骨。
この2つの骨にくっつき、肩の安定性を補強している筋肉がある。
この中でも特に、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋は別名、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれ、肩の安定性を補強している。
人の体の中に筋肉は数多く存在するが、1つ1つ骨(関節)に対して動かすことのできる動作が決まっている。
例えば「手を高く挙げてください」と言われて、手を高く挙げた時は、肩の関節に対して腕を挙上する動作をする筋肉(三角筋など)が働く。
逆を言えば、
筋肉の力が落ちてしまったり、普段あまり筋肉を使わない、動かさない生活をしていると、特定の動作をしようとした際にうまく筋肉が動かず痛める原因となったりする。
また、無意識であっても左右でどちらか片方ばかり筋肉を使っていて、左右差が生じていると、片方の筋肉ばかりが発達してあまり使われない側の筋肉は痩せて見えてしまう。
筋肉面から考えると、
肩のズレ、肩の高さの違いは、そういった筋肉の左右差の違いから、生じるということも考えられる。
これまで肩を構成する骨、筋肉を紹介した。
肩がズレるという現象は、先述してきた骨と筋肉が引き起こしているものだということはイメージがつくだろうか。
1つ例を挙げるのならば、なで肩。
なで肩とは、これも一般的に知られている肩のズレの症状の1つである。
誰でもイメージするのは肩が内に入ってしまって、猫背のようになっている状態であると思う。
先程、筋肉は骨(関節)に対して動かすことのできる動作が決まっていると述べたが、なで肩のように、肩が内向きに入ってしまうのは次の2つのパターンが考えられる。
1.
肩を構成する上腕骨という骨を内側に向ける動作をする肩の筋肉が強く、上腕骨を常に内向きに引っ張っていてなで肩のように見える。
2.
逆に、上腕骨を外側に向かせる肩の筋肉の力が弱まり、外側を向かせることができず、常に上腕骨が内向きになってしまい、なで肩のように見える。
こういった骨と筋肉の働きによって、肩のズレの症状が起きているのは、イメージがついただろうか。
骨が筋肉によってある方向へ引っ張られると、例えばなで肩のように、肩が内に入っているように見えたり、外見上にも影響が出てくるということはお分かり頂けたと思う。
では、肩にずれが生じている際の、肩甲骨と上腕骨の関係性はどうか。
これは、なで肩で考えてみよう。
本来、肩甲骨の関節窩に正しく上腕骨頭が収まるのが正常の肩関節である。
だが、肩の怪我の既往や、筋肉バランスの悪さなどから、正しく上腕骨頭が肩甲骨の関節窩に収まらず、肩甲骨に対して上腕骨がズレる形となる。
その人にとって、そのズレた状態が通常な状態となってしまうのだ。
そのズレた状態で生活していると、肩関節はズレていても従来通りの動きをしようとする。
しかし、そのズレを肩の筋肉などがフォローをするためその分、負担が溜まり疲れやすくなったり、肩の痛みが出やすくなったりしやすくなる。
肩甲骨と上腕骨の位置は、非常に重要なものと言えるのである。
肩甲骨は上腕骨だけでなく、体幹、背部とも密接に関係している。
背部にある肩甲骨は逆三角形をした扁平な骨で、先述した肩周囲の筋肉に加え、背部の筋肉にも支えられている。
そのことから、肩甲骨は肩周囲の筋肉が働く時のみ動くものではなく、背部の大きな筋肉が動く時にも動くということがわかる。
背部の大きな筋肉とは、「浅背筋」と呼び、背中の比較的浅い部分にある筋肉のことで、
これらの筋肉が挙げられる。
ここでまた1つ例を出すと、誰もが一度は経験したことがあるだろう、
「背中の後ろで手を組んでみて下さい」
これで片側の手は組めるけど、もう片側は組めない。
もしくは、両側とも組めなかったりした経験はないだろうか?
これの原因の1つに、僧帽筋の固さがある。
僧帽筋は背中を覆う菱形の筋肉で、形状がカトリック僧の頭巾に似ていることからその名を由来とする。
僧帽筋は、肩甲骨を様々な方向へ動かす筋肉だが、この筋肉が固くなると肩甲骨がうまく回転できず、後ろで手が組めないといった現象が起こる。
これら5つの筋肉は、全て肩甲骨に付着していて、肩甲骨を支え動かしている。
肩の正しくあるべき位置をご存知だろうか。
これは姿勢の話とも関連するが、簡単に目安として確認する方法がある。
鏡に対して体ごと右もしくは左を向き、体の力を抜いた際に、
・耳の穴
・肩の骨の出っ張た部分
この2つが正しく、線上に位置しているかを確認する。
例えば、耳の穴に対して肩の骨の出っ張りが耳の穴よりも前に位置していたら、なで肩のように上腕骨が内向きに入っていることが考えられる。
または、肩甲骨の内側に付着している大・小菱形筋の筋力が弱くなり、肩甲骨を内側に留めておくことができず、外側へ開いてしまう形となり肩が内向きになっているということも考えられる。
今や、誰もが長時間の同じ姿勢は体に良くないといった認識を持っている。
だが、現代では仕事で長時間同じ姿勢でパソコンを使うことも増えてきており、それに伴い、肩や背中に症状を持つ人も増えてきている。
長時間パソコンを使う姿勢とはどんな姿勢だろうか?
長時間行っている為、背中も丸くなりつつ両腕を前に出し、肩甲骨が外側へ開いた状態が考えられる。
その状態で長時間仕事を行った場合、先述した、大・小菱形筋も伸ばされっぱなしで固まってしまう。
体幹に対して、肩甲骨が外側へ常にズレた状態となると、肩のこり、背中の張りなども出てくる。
また、長時間パソコン作業を行っている人は、無意識下で肩が上がってしまう人も少なくない。
そうすると、大・小菱形筋だけでなく、僧帽筋も常に収縮し力を出し続けていることになる為、仕事が終わってみると肩、背中周りに強い疲労感を感じるのである。
パソコンを使う上での姿勢もそうだが、人にはそれぞれ〇〇しやすい姿勢がある。
だが、それはその人が生活していく中で自然と「楽だ」と感じた姿勢であって、それが必ずしも正しい姿勢とは限らない。
肩のずれや高さの位置が変わってくるのも、原因は先述したように筋力不足なども考えられるが、その元となるのは本人の癖が関係していることも考えられる。
「楽だ」と思ってとった姿勢は、体にとっては良くないもので、その動作を繰り返し行う事で本来使わなくてはならない筋肉をあまり使わなくなり、筋力が落ちていき骨を支えられなくなり骨がズレる。
それにより、左右で違って見えてくるなど外見への影響が出てきたり、背中を丸めていることが癖になることで、新鮮な空気を深く吸う事が出来ず、内臓機能が低下するという影響も考えられる。
肩がずれる、肩の高さが違うということは、その背景では先に紹介したように、多くのことが組み合わさって起きている。
よって原因も必ず1つということはなく、多くの原因が考えられる。
日々、パソコンやスマートフォンを使う機会が多い現代人にとって、
普段、自分にとって楽な姿勢ばかりとっていないか考えるきっかけになれば、幸いである。
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