現代人を悩ませる症状の1つである『頭痛』
特に男性よりも女性はこの頭痛に悩まされている方も多いのではないだろうか?
頭痛の原因は様々考えられていて、ストレスだったり、筋肉の緊張からくるものだったり、大きな病気のサインだったり…
そして、今は頭痛に関する本や健康番組が多数あり、その中で様々な頭痛改善法を紹介している。
しかし、個人で体質なども異なるため、実際にそれらで紹介されている頭痛改善法が読者、視聴者全てに必ず効果があるかは定かではないが
現代病とも言えるだろう『頭痛』はあらゆる角度から注目されているのは間違いないだろう。
そして、今回はその現代人を悩ませる『頭痛』や『イライラ』などを東洋医学の観点から考え、原因や頭痛に効くとされるツボなども紹介していこうと思う。
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頭痛が起きる原因として、例に挙げたようなストレスや筋肉の緊張、大きな病気のサインといったものは
西洋医学的観点から頭痛を考えた場合に例として挙げられるものである。
では、東洋医学で頭痛はどのような場合に起こると考えられるのだろうか?
まず考えられるのは『気』の調子が悪くなって受ける影響である。
『気』とは人体を構成し、生命活動の原動力となるもので
身体中に満ちていて、絶え間なく動き組織や器官を巡っている。
この『気』の動きには方向性があり、昇る・降りる・出る・入るといった動きをしていてこのことを気機と呼ぶ。
その中でも、『気』の上に昇る動きばかりが過度に行われ、下に降りるという運動が不十分になり
人体の中でも上の部分、つまり頭部周辺で『気』が溜まり流れが停滞してしまうことで
頭痛や、めまいなどの症状が起こる。というわけだ。
先に述べた『気』の影響によって起こる頭痛、これが東洋医学的な頭痛が起こる原因、過程の1つの例だが
もう少し頭痛に関して掘り下げると、「頭痛が頭のどのあたりに出やすいか」というのも人それぞれ違うと思う。
おでこ周辺といった頭の前面に出やすい人もいれば、後頭部やこめかみの上あたりの側頭部に出やすい人
もしくは、頭全体覆いかぶさるように頭が痛くなるタイプの人もいるだろう。
なぜ人によって頭痛で痛む場所が違うのか?
それは東洋医学で考えると、その人の体の中を走る経脈のどの経脈が悪いかによって頭痛として痛みが出る場所が違うからである。
例えば、胃や大腸の経脈上が悪いとされる場合、頭痛は頭の前面(おでこ周辺など)に出ることが多い。
また、後頭部に痛みが出やすい人は、膀胱の経脈上が悪いと考えられる。
少し話は反れるが、膀胱の経脈は目から頭を通って背中、膝裏、足の小指の外側まで長く繋がっている。
そして、デスクワークの仕事などが多い現代では、背中の筋肉が張る(こる)、腰も重だるい、痛いといった症状を抱える人が多い。
そんなとき、つい一番張ってる部分や、痛い部分に手を伸ばして自分でもんでみたり叩いてみたりしがちだが
もちろん気になる部分に対して何かアプローチをすることは悪いことではない。
しかし、先に述べたように膀胱の経脈上で考えると、目から背中、膝裏や足の小指の外側まで繋がっているので
背中の筋肉の張り感を感じていても、膝裏や足の小指の外側を押してみて背中の張り感が少しでも治まるポイント(ツボ)があれば
そのポイント(ツボ)を押したり温めたりしてあげれば、気になる部分に対してのアプローチがなくても
症状が軽くなるというのは多々あることである。
話を戻すが、頭痛を感じやすい部位として前面、後頭部に次いで挙げられるのは側頭部に起こる痛みである。
側頭部は経脈で考えると三焦と胆という五臓六腑の六腑に分類されるものが関係していて、三焦の経脈は手の甲側の薬指から肘、耳の方にかけて走っている。
そして、胆の経脈は頭から肩、側胸部、足の腓骨と呼ばれる骨の前のライン(ふくらはぎの外側あたり)、足の薬指の外側にかけて降りてくる。
もし頭痛でこめかみの上あたりが痛くなることが多い人は、上記の線上を指で押していき、少し頭痛が弱まるポイントがあればそこを入念に押したりして刺激を入れてみると良いということだ。
東洋医学的に頭痛を考えると、痛む場所によって治療するべきツボが違ったり
西洋医学と違い、「頭痛にはこの薬」というように必ずしも治療法が1つや2つに限られず
施術者の症状の見方や経験などにより、頭痛1つをとっても治療法は全然違うということが東洋医学で症状を考える面白さとも言えるだろう。
誰しもが一度は感じたことのある感情である『イライラ』
ニュアンスとしては怒るまではいかないが、怒る一歩手前といった感じだろうか。
些細なことでイライラするようになったり
気が短い性格ですぐにカッとなって怒ってしまう、またはそういった人に会ったことがあるという人もいるだろう。
さて、このイライラする症状は東洋医学で考えると、何が原因でイライラする感情が沸きあがってくるのだろうか?
東洋医学で考えられる原因やイライラに付随して起こる症状なども一緒にご紹介しよう。
『肝』とは何か?字だけ見るとキモ、レバーといった意味合いだが間違いではなく
五臓六腑の五臓に属するのが『肝』である。
『肝』には肝臓と同じように体の中の「血(ケツ)」を貯蔵したり血流量の調節などを行う機能があったり
また、頭痛のところでも述べたように「気機」と呼ばれる『気』の運動の方向性を調節する「疏泄」という機能や
他にも、「情志」と呼ばれる情緒や情動といった感情を調節していたり、脾や胃の補助や月経の調節なども行っている。
そんな色々と多くの調節を行っている『肝』だが、ここでは「情志」という感情を調節しているという部分に注目したい。
情志の調節には「気機」が関係してくるため、強いストレスなどを受けると『気』がダメージを受け気機に不調を来たすようになる。
「気機」に不調をきたすと、『気』の流れが停滞し思い悩むようになったり、逆に『気』の流れが過剰になるとイライラ、怒りっぽいなどの症状が現れる。
『気』の流れが滞ったり、過剰になることで起こる感情の変化はぼんやりとイメージできるだろうか。
つまり、イライラしやすかったり、怒りやすいというのは、『肝』という臓の「疏泄」の機能の失調によって引き起こされているということだ。
漫画やアニメなどでキャラクターが怒っているシーンなどがわかりやすいが、見ると目が釣りあがり充血させながら怒っている。
これは『肝』が失調したときの特徴と似ている。
身体の中には『肝』という臓と関連している領域(部分)があり、その1つが「目」なのだ。
先に述べたように『肝』は血流量の調節を行い、目にも血を送り滋養させている。
そのため、『肝』が失調してしまうと、目に影響を及ぼし目のかすみや目の乾きなどの症状が起こる。
また、「疏泄」が失調し精神的にふさぎこんでしまったり、鬱々とした症状が進行してしまうと
鬱々とした症状から一変、化火と呼び、『肝』に火がつき熱は上に昇るという性質から頭や顔に熱症状が現れる特徴がある。
それはつまり、火の上に昇る性質がイライラや怒りっぽいという感情を生み出し
他にも、頭痛、めまい、耳鳴りなどの症状を起こす。
また先に述べたように火の熱は頭だけでなく顔にも及び『肝』は目と関連があるため、目が充血し赤くなるといった症状が起こるのだ。
まさに人が怒っている時の顔をイメージしたような症状となる。
ここまででイライラや怒りの感情は『肝』という臓が密接に関わっているということがお分かり頂けたと思うが
では、『肝』の機能が落ちていて先述したような頭痛やイライラ、怒りっぽい症状が出ている場合
どのようにして『肝』の機能を回復していけば良いか。
『肝』の症状は「気機」の調子が悪くなる事で起こることが多いため、まずは「気機」の調子を取り戻さなくてはならない。
そのためのツボをご紹介する。
「気海」というツボで正に読んで字のごとく気の海と書くツボである。
「気海」のツボの場所はおへそから指2本分ほど下へ降りた場所にある。
その部分を指でゆっくりと指圧、または家庭用のお灸などがあればそこを温めることにより全身に『気』が巡り、滞りなどが解消されやすくなる。
また、『肝』の調子を整えるにあたりイライラや怒りといった感情は先述したように頭に熱が昇って引き起こされることが多いので
その熱を冷ますという意味で「滎水穴」のツボを用い、熱を冷まさせて症状の緩和を図る。
そのツボは『肝』の経脈の滎水穴に属する「行間」というツボだ。
「行間」は足の親指と足の人差し指の間のみずかきのような部分にある。
熱を冷まさなくてはならないので、ここはお灸など温めるというよりは
治療院などに置いてある円皮鍼といったようなシール鍼などを用い貼っておく方が良いかと思われるが
それがなければ、指圧で痛気持ち良い程度に刺激を入れるだけでも効果はある。
特に最近イライラが続いていたり、怒りっぽくなったと感じる方は
『肝』の調子が落ちているサインかもしれないので上記2つのツボを参考にして頂きたい。
さて、今回は頭痛やイライラなどについてご紹介させて頂いたが
初めに述べたように西洋医学と東洋医学は症状に対する考えかた、アプローチが全然違うのだ。
『肝』の症状に対してご紹介したツボも今回はベーシックなツボを用いたが
人によっては『肝』の経脈は用いず別の経脈で『肝』の症状を治す人もいるだろう。
そのように人によって考え方、流派は違えど、同じく1つの症状を治すというのが東洋医学の治療である。
東洋医学とはどのようなものか、また東洋医学の考え方で頭痛やイライラに対するアプローチの仕方を知るきっかけになれれば幸いである。
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