『呼吸』
それは人だけに限らず、生物全般において生命活動を維持する為に必要な行為であり、意識してコントロールもできる。
だが、基本的には無意識でおこなっているものである。
呼吸の方法は大きく分けると2種類ある。
体にとって良い呼吸とされるのは、浅い呼吸よりも深い呼吸の方である。
これは後述するが浅い呼吸と深い呼吸では、その呼吸が起こる場面も変わってくる。
だが、体を良い状態へコントロールするには、深い呼吸を意識することが必要不可欠だ。
整体を行う目的は、深い呼吸を行えるようにし体の回復力を上げる為だ。
と言っても過言ではない。
今回は、呼吸の必要性、呼吸の深さによって体にどんな影響があるか。
また、整体を応用した悪い呼吸の改善方法などについて、紹介させて頂きたいと思う。
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呼吸をするのは生命活動を維持するため。
と基本的なことを冒頭で述べた。
普段、私達が当たり前のようにしている呼吸は、体の中の様々なものが関与して呼吸を可能としている。
私達は、生きていく上で、酸素が必要不可欠である。
酸素を吸って二酸化炭素を吐く。
その過程でも、体内では細胞レベルでのやり取りが行われている。
吸った酸素は、肺にある毛細血管内の血液中に入り、血液循環により全身の各組織へ運ばれる。
そして、次に組織の毛細血管から間質液(タンパク質や糖が溶けた液体成分)に入り、最後に細胞に取り込まれて代謝に使われる。
代謝の結果、生じた二酸化炭素は説明した酸素の取り込みとは逆に、組織→血液循環→肺へと移動して、吐き出す息と共に体外に出される。
呼吸を体内から見てみると、このようなことが行われているのだ。
呼吸時に体内で行われているやり取りに関しては、ご理解頂けただろうか。
次は、整体の観点から、呼吸を見ていこう。
息を吸う動作をする際に、お腹の少し上の部分に手を当ててみると、動いているのが、わかるだろうか。
これは、酸素が肺に入ってきて胸郭が広がっているのだ。
その奥ではドーム状に盛り上がっている横隔膜(収縮時には水平になる)と、少し横に手をずらした肋骨の部分についている外肋間筋という筋肉が収縮することで肋骨が持ち上がり、息を吸うという動作を可能としている。
逆に、息を吐く際は、横隔膜と外肋間筋は弛緩をする。
またこれも手を実際に当てて頂くと肋骨の動きがわかりやすいと思う。
外肋間筋が弛緩をすることで持ち上がっていた肋骨は下がり、水平になっていた横隔膜は再びドーム状に盛り上がる。
結果、広がっていた胸郭は元に戻る。
呼吸は体内の細胞や組織だけでなく、横隔膜や筋肉も関与しているのだ。
さて、少し呼吸の仕組みがわかってきたところで、よく呼吸が浅いと自覚されている方や、深い呼吸を意識するようにと、ヨガやフィットネスジムなどで指導を受けている方もいると思う。
そもそも、呼吸が浅いとはどういうことなのか。
イメージとしては鼻や口で息を吸ったら、すぐに吐いてしまうことだろう。
体の隅々まで吸った酸素が、行き渡りそうなイメージはない。
では、深い呼吸とはどういうことなのか。
イメージするのは文字通り、深呼吸ではないだろうか。
ゆっくり鼻から吸って口から吐く。
体の隅々まで酸素が行き渡りそうなイメージがある。
では、その違いは?
浅い呼吸とは、吸うときに先述した『肋間筋』を主に使い呼吸をする。
これを『胸式呼吸』と呼ぶ。
深い呼吸とは、吸うときに先述した『横隔膜』を主に使い呼吸をする。
これを『腹式呼吸』と呼ぶ。
では、実際に浅い呼吸はどんなときに行っているのか?
肋間筋を使った呼吸とは何か?
それは、運動をして息が上がっている状態、走った後などで息が切れたりしている時など。
息が上がっている時は、体にとってどうしてもすぐに酸素が必要な時である。
本来であれば、酸素をゆっくりと体に行き渡らせるような呼吸をしたいが、筋肉を動かし、激しく運動をした際は普段安静にしている時よりも酸素消費量が激しい。
そのため、それだけ吸って吐いての呼吸数を増やし、酸素を積極的に体内に取り入れなければならない。
その時に行っているのが浅い呼吸『胸式呼吸』なのである。
次に、深い呼吸はどんなときに行っているのか?
横隔膜を使った呼吸とは?
横隔膜を使った呼吸とは、普段私達が安静時、無意識に行っている呼吸である。
人がリラックスしている時に、肩で息をするような呼吸をする人はあまりいないだろう。
では、なぜ普段私達が無意識に行っている呼吸が横隔膜を使った腹式呼吸なのか?
もちろん1つは酸素を多く吸い込むことができ、体の隅々まで酸素を行き渡らせることができるからである。
もう1つは胸式呼吸と違い、エネルギー、力を使って呼吸をするよりも、体にとって負担にならないからである。
しかし、最近は、横隔膜がうまく使えなかったり、また別の原因があって、リラックスしている時でもうまく深い呼吸ができない人が増えている。
では、どういったことが原因で呼吸が浅くなってしまうのか?
呼吸が浅くなる原因として考えられるものはどんなことがあるだろうか?
まず簡単にイメージできるものから挙げていくと、次の原因が考えられる。
これはイメージしやすいのではないだろうか?
猫背のように背中が丸まった状態では、息を吸おうと思っても肺、胸郭は大きくは広がれず、どうしても浅い呼吸になってしまう。
また、不良姿勢と同じくして、長時間同姿勢でのデスクワークなども胸、お腹周りの筋肉が固まりやすく、それが胸郭が広がる妨げになったりする。
また1つの原因として、
『ストレス』
も考えられる。
イライラしたり、怒っている時をイメージしてみてると、
肩で息をしていて鼻息も荒く、深い呼吸よりは浅い呼吸がイメージできないだろうか?
そのイメージ通りで、ストレスを感じていると、交感神経が高まり体はリラックスの状態とは真逆の活動的な状態となる。
そのため、常にストレスを感じていると自然と呼吸も浅いものとなりやすくなるのだ。
イメージしやすい呼吸が浅くなる原因を2つほど挙げた。
では、猫背、不良姿勢の人が深い呼吸をするにはどうすればいいだろうか?
背中が丸まるクセがついているのであれば、簡単に考えれば丸まるのとは逆の方向へ導いてあげれば良い。
自宅で簡単にできるものだと、次の方法がおすすめである。
【自宅で出来る姿勢改善体操】
1.バスタオル2枚ほど用意し、2枚とも固くなるくらいの棒状にバスタオルを丸める。
2.固く丸めたバスタオルを縦向きに2つ置き、その上に自分の背骨のラインが合うように仰向けに寝る。
3.その状態で体の力を抜き、リラックス。
4.鼻からゆっくり1・2・3で息を吸い、1・2・3・4・5・6・7・8・9・10で吐く。
5.10~15分程度を1回とする。
特に1日何回という決まりはないが、背中の丸まった状態を変えていくには続ける事が大事である。
あくまで一例だが、こうすることで丸まった背中は伸ばされ自然と胸郭が広がる姿勢となる。
ストレスを感じると交感神経が高まり、体がアクティブの状態になるため、浅い呼吸になりやすいと先述した。
逆に呼吸をゆっくり大きく、深く行い、リラックスすることで、ストレスを受け、高まっていた交感神経も治まり、逆にリラックスする副交感神経が高まってくる。
深い呼吸を行う事で交感神経・副交感神経(自律神経)が整い、ストレスの解消につながるのだ。
また、体はリラックスモードとなり、深い呼吸を行うので体の隅々まで酸素が行き渡ることで、細胞が活性化し、代謝が上がりやすくなる。
このように深い呼吸を行う事は、多くのメリットがあるのだ。
ここまで呼吸が浅くなる原因や、一例だが深い呼吸をしやすくするエクササイズを紹介した。
初めに述べたように、日常的に意識しなければならない呼吸は浅い呼吸ではなく『深い呼吸』であることはお分かり頂けたと思う。
そして、その為には、たくさん酸素を取り入れることのできる動きのある胸郭でなくてはならない。
不良姿勢や、仕事で長時間の同姿勢が続く方は特に、胸郭を意識し動かすように深い呼吸を行い、紹介したエクササイズのように胸を開く姿勢で柔軟な胸郭にしていく必要がある。
また、日々ストレスに悩まれる方は、自律神経の乱れも考えられるため、呼吸から深くゆっくりとした呼吸を意識して頂きたいと思う。
上記で得られる効果は、続けることで得られるものの方が大きいので、日々意識して深い呼吸を行う事が大事である。
今一度、日々深い呼吸をするということを意識し、体を内側から良い方向へ導いていって頂くキッカケになれば幸いである。
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