職業上、食いしばりを治したいです。
という相談を受ける事があります。
なぜ食いしばりを治したいのでしょうか?
食いしばりを治したい方の理由は、主に2つあります。
そんな患者さんのエラの筋肉は、カチカチです。
更には、筋肉が盛り上がっている場合もあります。
食いしばりは歯が欠ける原因にもなるので、治せるものなら治したいという方も多い、厄介な悪癖になります。
施術中に、そんな患者さんのお腹を触ってみると、みぞおち部分が固く張っていたり、押されると痛いという事が多々あります。
みぞおちの詰まり感や張り、痛みの事を東洋医学では、心下痞硬(しんかひこう)といいます。
ここに症状がある方は、交感神経優位になっている方が多いです。
交感神経については『ストレスが血管をダメにし肩こりや冷え性の原因となる理由』でまとめていますので、参考になさって下さい。
ここの治療を行うと、「食いしばりが楽になって、良く眠れるようになった」という感想を頂く事も多いです。
なぜ、みぞおちの治療を行うと症状が軽くなる方がいるのでしょうか。
今回は、次の3つの観点から、その理由を探っていこうと思います。
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体が歪むと、みぞおちに痛みが出やすいです。
更に、食いしばる事により痛みが強くなる傾向があります。
その理由に胸郭の歪みと交感神経があります。
ヨガや瞑想に代表されるように、呼吸を深くするという事は、体を良くする上で重要な事です。
しかし、どんなに呼吸を深くしようと努力しても、肩で息をしてしまい、呼吸が深くならない患者さんがいます。
その原因の1つが胸郭の歪みです。
胸郭は、ある程度の歪みがある事が、正常な部位になります。
ただ、その歪みを放置してしまうと呼吸を行う際に肋骨が動きづらくなり、肋骨よりも動きやすい部分を使って呼吸を行うようになってしまいます。
その部分が、肩になります。
スポーツ選手が疲れると肩で息を行うようになりますし、大勢の前でプレゼンをする時なども緊張のため、肩で息をすると表現される事も多いです。
そんな時は、交感神経が優位になっています。
同じような状態が、胸郭が歪んでいる為に起こってしまうのです。
交感神経が優位になると呼吸が浅くなり、胸郭の歪みが更に進行してきます。
また、交感神経が興奮していると、みぞおちに痛みが出やすくもなります。
詳しい理由はまだ分かられていませんが、このような方は食いしばる傾向が強く、胸郭や肋骨の歪みを矯正する体操を行うと、症状が軽減される事が多いです。
胸郭の歪みの矯正方法は『肋骨が片方だけ出てる?それって自分でも矯正できますよ!』や、こちらの動画を参考になさって下さい。
胸郭を治す目的は、横隔膜の正しい働きをリハビリさせる事にあります。
その横隔膜の主な役割は、呼吸です。
横隔膜が柔らかいと肺可動力が上がり、スムースな酸素の入れ替えが出来るようになります。
また、よく知られてはないのですが、血流を循環させる働きの一部も、横隔膜が担っています。
そして、背骨の動きにも関係が深いのです。
今、息を深く吸い込んでみて下さい。
この時に、背骨が一緒になって動いている事に気が付きますか?
気が付いた方は横隔膜の動きや背骨の柔軟性がある証拠です。
ですがその一方で、動きを感じられなかった方は、横隔膜や背骨が固くなっているかも知れません。
横隔膜は、棘上靭帯や前縦靭帯といった背骨を支える靭帯と共に、呼吸の際の背骨の動きと関係しているのです。
整体にいくと、骨盤の歪みや背骨の歪みを指摘される事が多いのですが、整体での治療で思ったような治療効果を感じられない方は、呼吸の際に背骨の動きを感じられない方に多いです。
折角、整体へ通ったのに、、、。
そんな時、呼吸を意識した背骨の体操を行うと、整体での治療効果が増す場合が多いです。
また、くいしばりを治す為にも、横隔膜と背骨の連動性は重要です。
くいしばりがある方の中には、肩こりに悩んでいる方も多いです。
くいしばりや肩こりを治す為に、一番簡単に行える体操法をご紹介いたします。
是非試してみて下さい。
背骨を動かし、肋骨を下げながら呼吸を深くする体操法をご紹介いたします。
【やり方】
1.膝と手をついて、四つん這いになって下さい。
2.頭を手よりも前に出すように姿勢を調整して、背中を丸めて下さい。
3.その姿勢をキープしながら、深呼吸を3回繰り返して下さい。
4.その後、お尻を踵につけ、おでこと肘を床につけて下さい。
5.その姿勢をキープしながら、深呼吸を3回行って下さい。
その際に、背中に空気が入るようにイメージすると更に効果が上がります。
6.一連の動作を3セット行って下さい。
もっと簡単に行う方法には、こちらの方法があります。
是非、お試しください。
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顎の歪みとみぞおちの固さ。
そして、食いしばりとの関連性について考えていきましょう。
顎の歪みは体を歪める大きな原因にもなりますし、そもそも顔を歪ませる原因でもあります。
顎は重心を真っ直ぐさせるバランサーになります。
顎が歪むと、歩き方や座り方がどちらか一方に偏り、固定されてしまう事が多いです。
また、顎が歪むと舌が下がってきます。
舌低位といい、気道が狭くなる原因になります。
呼吸が浅くなると交感神経が優位になり、食いしばる事が多くなります。
必ず食いしばるというわけではないのですが、自律神経のバランスを調えておく事にこした事はないです。
次の方法で、顎の歪みを矯正してみて下さい。
今回は、顎の歪みの為に弱ってしまった舌の筋肉を鍛えて顎のバランスをとる方法をご紹介させて頂きます。
【やり方】
1.首が痛まない程度に、上を向く。
2.舌先を天井に向けて伸ばし、「あー」と発声する。
3.一連の動作を3回3セット行う。
東洋医学ではみぞおちの不快感や痛みの事を心下痞硬という表現するわけですが、心下痞硬という言葉に馴染みがある方は少ないと思います。
なので、まず心下痞硬について、もう少し詳しくご説明していきたいと思います。
心下とは、みぞおちの事をいいます。
痞とは、痞(つか)える。
硬は、そのまま硬さの事をいいます。
心下痞硬とは、みぞおち部分がつかえて硬く、押されると痛みがある事を表現しています。
では、なぜこのような状態になってしまうのでしょうか?
東洋医学では、気という概念があります。
気が体を巡ることにより、各臓器が働くようになるのです。
この気がみぞおち部分で詰まった状態を、心下痞硬といいます。
気にもいろいろな種類があるのですが、心下痞硬の場合は胃の気の問題を考えます。
胃の気とは、食事を下へ促すときの力の事をいいます。
胃の気が衰え場合は、胃もむかむかや下痢、便秘などを引き起こします。
ただ、胃の気のみ悪くなるわけではなく、脾の気とのバランスが悪くなり症状がでる事が多いです。
脾の気は胃の気に対して、下から上の持ち上げるエネルギーのことをいいます。
上から下へ動かす胃の気の力と、下から上に流す脾の気の力のバランスが悪くなり、みぞおち部分に溜まった状態を心下痞硬と表現します。
そうなる原因としては、油ものが好んで食べたり、食品添加物が体から抜けていなかったりなど、食生活からくるものが多いです。
そして、もう1つの理由として、ここでまたストレスが関係してきます。
食べ過ぎは胃の働きを悪くし、みぞおちのつかえや痛みの原因になるのは当然ですが、ストレスが過剰にかかった状態で長く生活していると、胃の不調を訴える人がいます。
この方のみぞおちはカチカチです。
そして、多くの場合で食いしばりの癖もあります。
ストレスが原因でみぞおちが固くなり、横隔膜や腹筋に過剰に力が入った結果、呼吸も浅くなり、食いしばるといった感じです。
こういった場合、横隔膜が緩むように胸郭の歪みを整え、深呼吸を行うようにしてもらいます。
また、胸鎖乳突筋が張っている場合も多いので、顎を整えて脱力しやすくします。
これでも、みぞおちの固さが取れない方は、鍼灸施術を行います。
心下痞硬は、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)という漢方薬も良く効くので、試してみると良いでしょう。
ここまで施術を行う方は、難治なことが多いですが、それでも施術を続けていくとお腹が柔らかくなることが多いです。
現在では、食いしばりは治らない症状と言われています。
しかし、食いしばってしまうと、体の不調に繋がることが多いのは事実。
なので、日中に奥歯が触れ合わないように意識してもらっています。
ただ、なにかに集中している時に気が付いたら食いしばっていたり、夜寝ている間の食いしばりを治す事はやはり困難です。
歯ぎしりの癖がある方はマウスピースもおすすめですが、食いしばらなくさせるものではないようです。
そんな時におすすめな方法が、みぞおちを柔らかくすることです。
ポイントは3つ。
その治し方が次の3つです。
今回ご紹介した方法を使って、治らないとされている食いしばりに、アプローチしてみて下さい。
少しでも、食いしばりが楽になることを願っています。
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