パソコンの普及により、長時間机に座って仕事をする方が増えてきた現代社会。
デスクワークを行うと、姿勢が悪くなりがちである。
また、姿勢の悪さから、次のような症状を訴える方も多い。
これらの原因として挙げられるのが、不良姿勢でのデスクワークによる首や肩への力学的ストレスである。
簡単に説明すると、
片方の肩だけ上がった姿勢で仕事をしたり、脚を組む事により片方の骨盤に体重をかけ座る事になる。
それによって、首や肩の筋肉が反復的に使われ血流障害を引き起こし、肩こりや首こりなどの症状を引き起こしてしまう。
といった形である。
そして、その中でも特に多い姿勢が、猫背になる。
今回は、次の2つについてご紹介していきたい。
デスクワークの為に姿勢が悪くなってきたと感じる方は、参考にしてみて下さい。
目次
猫背とは、背中が丸まっている状態のことをイメージすると思う。
ではなぜ、背中が丸くなってしまうのか?
解剖学的に猫背になっている人の背中の筋肉を考えると、背中の丸くなっている部分の表層には、カトリック僧侶の帽子の形に似た、僧帽筋という大きな筋肉がある。
そして、その僧帽筋よりも深層にある特に注目すべき小・大菱形筋という筋肉である。
小・大菱形筋は首の下あたりの背骨から肩甲骨の内側についていて、肩甲骨を背骨側の方向へ引っ張っている筋肉である。
そして、長時間のデスクワークで背中の丸まった不良姿勢が続き、それが習慣化してしまうと、肩甲骨を背骨側に引き寄せてくれている小・大菱形筋の力もどんどん弱くなり、肩甲骨を引き寄せることができなくなる。
そうなると、どうなるのか?
肩甲骨を背骨側に引き寄せられず、肩甲骨が外側へ開きっぱなしになる。
すると、まさに猫背のように背中が丸くなった状態になってしまう。
つまり、猫背とは小・大菱形筋の筋力低下から起こる。
とも言われているのだ。
私達、人間の頭の重さがどれくらいかご存知だろうか?
人間の頭の重さは、体重の約8%を占めると言われている。
つまり、体重50㎏の人の頭の重さは約4㎏ほどになる。
よく例えられるのは、ボウリングの球と同じくらいと言われるが、私達はそれくらいの重さのある頭を筋肉によって支えている。
しかし、デスクワークを長時間続け、疲れてくるとだんだん不良姿勢になり、背中は丸まり、頭の位置は肩よりも前に出る。
まさにイメージするような猫背の姿勢になってくる。
では、その不良姿勢である肩より頭が前に出た姿勢というのは、首や肩にどういった影響を与えるか?
例えるならば、ボウリング球を両手で持ち、胸の前で両肘を伸ばした状態で長時間持ち続けているようなものである。
そうなると、時間が経てば必ずボウリング球を持つ両腕がプルプルと震えてきて腕には相当の疲労が溜まるはずだ。
不良姿勢でのデスクワーク時の首や肩には、それと同じような状況が起こっている。
そして、重い頭が肩よりも前に倒れている状態を必死に支えているのが、首の筋肉ということだ。
そのため、日々デスクワークの仕事で慢性的にその状態が続くと首の筋肉。
そして、首の筋肉の付け根である肩付近にも疲労が溜まってきて、首こりや肩こりの症状が出るということだ。
仕事を始めたばかりの時は、疲れもないため、まだ良い姿勢を保っていると思う。
疲れてくると先述したように首は肩よりも前に倒れてきて、それ以上倒れないように首の筋肉が緊張して支えるため、首こりの原因となる。
では、その時の肩はどうなっているかというと、無意識に両肩に力を入れ、両肩を上げながらデスクワークをしている人が多いのである。
両肩が上がっている状態というのは、肩を上に引き上げる筋肉が常に収縮し力を出し続けているということだ。
その両肩を上に引き上げる筋肉が、先述した僧帽筋という大きな筋肉である。
この僧帽筋の特に上の部分の筋繊維が肩を上げる、すくめるような動作に関与している。
デスクワーク時の不良姿勢として両肩を上げ続けていると、この僧帽筋が常に収縮しっぱなしになるので、僧帽筋は常に筋肉疲労を起こしているような状態となる。
そのため、よく肩こったなぁ。
というときに、自然と手で押さえる場所が僧帽筋の上部繊維にあたる部分になるのだ。
勉強に励む学生や、デスクワークの仕事をしている人の中には、一生懸命仕事に取り組み、背中が丸まっている人がいる。
そのような方に対して、「背中が丸まっているよ」と注意をすると、
『背中の丸まっているのを直す=胸を張る』
と考え、胸を張ろうとする人が多い。
実は、胸を張るということと同時に、腰を必要以上に反らせ過ぎている人が多いのだ。
そして、その反った腰の状態を長時間維持する事は、かなり難しいことのように思う。
胸を張り、腰を反らすことで脊柱起立筋という筋肉に力が入るのだ。
脊柱起立筋という筋肉は、腰のあたりから首の方まで伸びていて姿勢を支えている。
その筋肉を使い、長時間姿勢を維持するのは当然、筋肉疲労が起こりダルさや痛みにもつながる。
では、座っているときの正しい姿勢とは、どのような姿勢なのか?
体を支える時、重心線というもの重要になってくる。
重心線とは簡単に言えば、体の重さがかかる場所で
がポイントとなっている。
この上記のポイントが一直線に整列していることが、理想的な立位姿勢とされている。
実際には、鏡の前で鏡の正面ではなく、横を向いてみて上記のポイントを確認してみると、自分の姿勢の特にどの部分が理想とされる線上からズレているのかがわかりやすい。
そして、立った状態での理想姿勢を紹介したが、これが座った状態だとどうなるのか?
座った状態で見る姿勢のポイントは、耳の穴、肩の骨の出っ張り(肩峰)、坐骨という骨の位置をポイントとする。
耳の穴と肩の骨の出っ張り(肩峰)は指標として最もわかりやすいため、立位の理想姿勢のポイントと同じである。
そして、坐骨とは字の通り、座った時に当たる骨のことである。
座った時の正しい姿勢とは、耳の穴、肩の骨の出っ張りを線で結べる位置にする意識も必要だが、座った時に椅子の面にあたるお尻の骨である坐骨を立たせるという意識も、大事なのである。
では、坐骨を立たせるということは、どういうことか?
坐骨がまっすぐ立っていない状態というのは、つまり骨盤が前か後ろに傾いているということだ。
前に傾いているのであれば、姿勢としては前傾姿勢となっていて、後ろに傾いているのは後傾、つまり猫背など背中が丸まっている状態であることを指す。
なので正しくは、椅子は少し浅く腰掛け、イメージとしては頭を上に引っ張られるような意識をすると骨盤が傾くことはなく正しく坐骨を立たせることができる。
そして、頭を上に引っ張られるように意識をすると、首が前に倒れて見えることもなく、座位で姿勢をキレイに見せることができる。
猫背をはじめとする、不良姿勢にならないための矯正体操をご紹介いたします。
猫背になるメカニズムや正しい姿勢はどのような姿勢かを紹介してきた。
椅子に浅く腰をかけ、骨盤を立たせるように前傾させ姿勢を伸ばす。
この姿勢を時々意識するだけでも、猫背を予防できるようになる。
正しい姿勢を理解し、正しい姿勢を意識して日々生活するのと、意識しないで生活するのとでは、その後は大きく変わってくる。
筋肉トレーニングやストレッチでも同じである。
トレーニングなどをする際に、目的の部分の筋肉を意識し行う事でトレーニング効果は上昇する。
例えば、背筋を伸ばすという行為。
背筋を伸ばし正しい姿勢を意識することで脊柱起立筋という筋肉が収縮し、姿勢を支えるために頑張るため、新陳代謝が上がるとも言われている。
正しい姿勢を意識せず背中が丸いままでいると、脊柱起立筋は収縮せず次第に筋力も低下し正しい姿勢が取りづらくなり、新陳代謝も上がらない。
このように意識するだけでも、これだけの差が出るのだ。
猫背で悩まれている人が多い現代。
正しい姿勢を理解し、それを意識して生活する人が増えてくれば必ず猫背で悩む人は減ってくるだろう。
そのきっかけになれれば幸いである。
〒104-0061
東京都中央区銀座 6-13-5
銀座NHビル4階
営業時間 10:00-23:00
(最終受付 22:00)
不定休
TEL 03-6278-8862
REVIEWお客様の声
2024/9/1
2020/6/24
2018/3/23
© revision. ALL RIGHTS RESERVED