『気』という言葉をご存知だろうか?
世の中には「〇気」とつく言葉は数多く存在する。
例えば、「元気」「空気」「活気」など。
どれも「〇気」という言葉は目に見えるものではないが、なにかエネルギーのような感じのイメージがあると思う。
また、例として挙げた「元気」という言葉は生き物に対して使われる言葉である。
生き物に対して使われる言葉であるからして、生き物、特に人の体の中には『気』というものが流れている。
東洋医学では、『気』は人体を構成するものと考えられており、生命活動を維持する極めて細かい物質、機能を表す言葉として知られている。
今回は、『気』が体にもたらす影響はどのようなものがあるか紹介しようと思う。
目次 [非表示]
『気』とは生命活動を維持する極めて細かい物質、また機能というように述べたが、もちろんそれだけではない。
『気』は身体中の組織や器官を巡り、身体中に満ちていて絶え間なく運動している。
昇る、降りる、出る、入るといった運動の方向性があり、これを「気機」と呼んだりもする。
『気』にも種類がある。
人に対して使われる言葉で、「元気」や「活気」「覇気」といったように〇気とついてもそれぞれ『気』の種類が異なるのと同じように、『気』の機能や、源などによって分類されている。
例えば、機能による分類を見てみると、
この4つに分類される。
少し説明すると、
「原気(元気)」とは、人体の最も根本的な気とされている。
人の成長や発育を促し、内臓を動かし、生命活動の原動力となる気である。
「宗気(ソウキ)」とは、摂取した飲食物、呼吸から得られる空気、それらが合わさって作られる気である。
また、宗気は呼吸や脈拍、発声、運動に関係のある気で、この宗気が不足してしまうと、呼吸が浅く早く微弱になったり、しゃべってもハキハキとせず、声は低くなり弱くなる。
「営気(エイキ)」とは、豊かな栄養分を持っており、血液の成分として脈中に入り全身を巡り栄養する。1日かけて全身を50周する気である。
「衛気(エキ)」とは、摂取した飲食物から作られる気で、
イメージするなら体表を覆うバリアのようなもので、外邪(自然の気候変化など)と戦い、生命を守る防衛機能、毛穴、汗腺、体温の維持などの機能がある。
つまり、衛気の力が弱くなると、例えば冷房で冷えたり、雨に濡れた後、汗をかいた後に体が冷えることでカゼを引きやすくなったりするのだ。
気の分類は、それぞれ特徴が異なっていたが、気とはどんな作用があるのか?
またそれぞれ簡単に説明したいと思う。
「推動作用」とは、体の成長、発育を促し、組織や器官の働きも促進し正常な生理機能を発揮させる作用のことである。
「温煦(おんく)作用」とは、字の通り、人体の組織、器官を温める作用のことで、気は熱源としても働くため、この働きによって人は体温を一定に保つことができていて、正常な生理機能を発揮することができている。
「固摂作用」とは、固めるイメージのように、血が脈管から漏れ出るのを防いでいたり、体内の水液の過度な排出を防ぐ作用のことである。
この作用の働きで、体内の正常な分泌や排出が維持されている。
「防御作用」とは、衛気の説明で述べたが、気とは体表を覆うバリアのようなもので外邪(気候変化などからくるもの)による体内の侵入を防いでいる。
また、体内に入った場合、対抗する役割を持つ。
「気化作用」とは、例えば飲食物を摂取し、その養分が『気』に変わる過程のことを指し、汗や尿など排泄物が作られる過程も同じように気化作用と言える。
このように『気』には分類、作用があり、人体に存在している。
では、これら『気』の力が弱まり『気』自体の量が減少、不足してしまったりすると体にはどのような影響が出るかはイメージがつくだろうか?
次は『気』の失調について説明しよう。
体を守ったり温めたり、成長などを促進する作用のある『気』だが、
この『気』の調子が悪いということは、『気』の作用がマイナスに働くということだ。
例として、「宗気(ソウキ)」の部分でも述べたが、宗気とは発声や呼吸に関わる気で、この気がマイナスに働くと、
呼吸が浅く早くなったり、話す声は低く弱くなりはっきりしなくなる(ボソボソとした話し方になる)
このように気の調子が悪くなると、その作用を発揮することができなくなり、マイナスに働いてしまう。
では、その原因は何なのか?
原因として考えられるのは、
これらのことが原因として考えられる。
上記のことが原因で起こる病態を東洋医学で『気虚』という。
『気虚』とは文字通り、気が虚している状態を指すが、
気が虚すとはどういうことなのか?
『虚』とは東洋医学で、身体にとって必要な精気の不足、機能の低下を示す。
つまり、『気虚』とは、気の必要な量が不足しているということだ。
では、『気虚(証)』になると身体にどのような症状が出てくるか?
これが『気虚(証)』の代表的な症状である。
上記のどれかに当てはまる症状はあっただろうか?
次に、『気』の必要量が不足しておこる気虚ではなく、
『気』が滞ってしまうとどのような症状がおこるか説明する。
『気』が滞るとどうなるか?
イメージとしては、「滞る」という言葉は何かが詰まっていて流れが悪くなっているようなそんなイメージだと思うが、
『気』の流れが悪くなり軽度な循環障害を起こしている状態を『気鬱』といい、
『気鬱』がさらに悪化してしまった状態を『気滞』という。
これらが起こる原因としては、感情(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)が大きく関係する。
大きな感情(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)の変化によって気の流れが悪くなったり、または邪気によって気の流れが滞ってしまうとされている。
では、身体にどのような症状が起こるかというと、
これらが『気鬱』・『気滞』で起こる症状である。
先述した『気虚』とはまた違い、滞ったがために起こるような症状が身体に現れる。
特に『気鬱』・『気滞』は起こる原因として感情やストレスが深く関係しているため、大きな感情の変化、強いストレスには注意が必要である。
『気』の不足で起こる『気虚』、気の流れが悪くなることで起こる『気鬱』・『気滞』これらの症状を紹介してきたが、
痛みが伴う『気鬱』・『気滞』よりは『気虚(証)』の症状に当てはまる人の方が多いのではないだろうか?
だからといって例えば、疲れやすいから必ず『気虚』というわけではない。
東洋医学では、代表的な脈診や舌診を初め、声診や呼吸など多角的に患者の病態を判断するため、1つ症状が当てはまったとしても必ずしもそうとは言えない。
そして、『気虚』症状を改善するにはどうするか。
『気虚』とは過労が続き、本来であれば、規則正しいリズムで食事、睡眠をとっていれば回復する疲労も回復せず慢性的に気が不足している状態である。
不足しているのであれば『気』を補えば良いのだが、
飲食物から『気』が作られるので、『気虚』症状の人に、しっかりごはんを食べて下さいと指導をしても、
そもそも『気虚』症状の人は、飲食物から『気』を作る臓腑の機能が低下しているため、作れたとしても本来作れる量よりも減少する。
なので『気虚』症状を改善するにあたっては、まずしっかり身体を休めるということが大事である。
それと共に、栄養バランスの良い食事をしっかりと摂取し身体の『気』を作る機能を上げていかなければならない。
今回は『気』とはどういうものか?という部分から身体に起こる影響まで述べさせて頂いたが、
普段、自覚している症状が東洋医学の『気』で考えたら何に当てはまるのか?
気分が優れない時などに、一考するきっかけになれば幸いである。
〒104-0061
東京都中央区銀座 6-13-5
銀座NHビル4階
営業時間 10:00-23:00
(最終受付 22:00)
不定休
TEL 03-6278-8862
REVIEWお客様の声
2024/12/1
2020/6/24
2018/3/23
© revision. ALL RIGHTS RESERVED