鍼灸師なのに、全然鍼をうつ機会がない。
実に悲しい事です。
ですが、実際によく聞く話です。
鍼灸師は技術職です。
仕事の内容にこだわるからこそ、腕も上がってくるのだと思います。
鍼灸師になったばかりだと、右も左も分からないので、何となく就職してみたという鍼灸師の先生も、多いと思います。
よく耳にする後悔が、
マッサージばかりで鍼の技術が上がらない、1日の内で鍼をうつ事はおろか、鍼に触る日がないなんて事もある。
これでは、独立し鍼灸師として生活していく事は、難しいでしょう。
将来、どのような先生を目指すかによって就職先は変えなければいけません。
「ただ、何となく求人から選んで働いてます」
このような働き方だと、よほど運が良くない限り、将来役に立つ技術を得る事は難しいでしょう。
将来、鍼灸師として仕事の内容にこだわりたいのなら、求人からこだわるべきです。
後悔しない職選びの方法を、探っていきましょう。
目次
一般的に職探しのポイントとは、以下のものがあります。
鍼灸師の場合、これらの前にまずは『どういった鍼灸師になりたいのか』というビジョンを、ある程度固めておく事をおすすめします。
近くにお手本となる鍼灸師がいれば、分かりやすいのですし、その先生が求人を募集しているのであれば、尚ラッキーですね。
しかし、それ以外の場合、自分で自分の生きる道を模索していく必要があります。
ここで大事な事があります。
『若ければ若いほど、自分が働いている先の院長先生は、セラピストとしての生き方に影響を与える』
という事です。
若い時に素晴らしい院長先生に出会えるか、出会えないかで将来が決まるといってもいいほどです。
当たり前ですが、院の施術スタイルは院長によって変わります。
なので、院の数だけ施術の方法があるのです。
中医学の勉強がしたいのに、日本式の鍼灸施術を行っている鍼灸院で働いても、効率よく勉強する事は難しいでしょう。
そして、求人には大きく分けて2つのパターンがあります。
この先、どのような鍼灸師を目指すかで、これらの求人の見分け方が変わってきます。
この業界では、1つの会社で鍼灸整骨院を何店舗、何十店舗も運営している会社が多数あります。
そういった会社は人手不足です。
会社のホームページを見れば、求人募集の案内が常にアップされています。
このような大手鍼灸整骨グループの会社で働くメリットとは、一体どんな事があるのでしょうか?
まず、会社なので当たり前なのですが、社会保険など保険関係は充実しています。
独身の方は少し余分にお金を取られるので、有難くないと感じる事もありますが、結婚して子供がいる方などは出費を抑えられます。
更にありがたい事に、将来貰える年金も多くなります。
ただ、大手でなくても従業員が何人かいる会社であれば、社会保険に加入しなければなりませんし、雇用保険にも加入できます。
最大なメリットとはなり得ないでしょう。
また、大きな会社に勤めるメリットとして、ボーナスや退職金の充実という事もありますが、かなり長い年月勤めないと大きな金額は期待出来ません。
しかし、安定はしています。
少しぐらい景気が悪くなっても潰れません。
安定しているという事は、求人の魅力の1つになるのではないでしょうか?
これはかなり大きなメリットとなると思います。
院長先生の数だけ、施術に対しての考え方があります。
色々な先生と働く事により、自分の考えだけに収まらずに、大きな視野を持つキッカケになるでしょう。
自分の知らない事も知れるようになります。
ただ、注意点があるとすれば1点。
『様々なタイプ先生の在籍はありますが、皆さん会社を通して、同じ技術研修を受けているという事』
施術に対しての考え方自体は、会社外の先生と比べて、あまり変わらないかも知れません。
加えて、会社で整骨院や鍼灸院を多く保有している場合、転勤がある場合も多いです。
「もう少し、今の院長から学びたいな」と思っても難しい場合も出てくるでしょう。
大手の鍼灸接骨院グループは経営のノウハウを抑えています。
ある程度資金が豊富にある為に、うまく経営が成り立っている場合もありますが、数多く院をオープンしている経験から、売上を上げる方法を知っているのです。
どういう場所に院をオープンすれば、患者さんが来院しやすいだとか、今の業界の傾向をいち早く知る事が出来るので、対応も早いです。
仮に1店舗、2店舗上手く売上が立たなかったとしても、その失敗から成功へのヒントを探る事が出来ます。
個人の鍼灸接骨院ではこうはいきません。
売上がなければ、閉院となってしまいます。
なので、資金がある程度豊富にある事が条件にはなりますが、繁盛している院の真似をしてしまえば、売り上げもある程度ついてくる事でしょう。
ただ、ここでも注意点が1つあります。
『真似をしても、必ず上手くいくとは限らない』
という事です。
大手の会社は院運営のノウハウを知っているので、限りなく100パーセントに近い確率で院を繁盛させられます。
しかし、その方法が必ずしも当たるとは限らないのです。
新店舗オープンの為に、腕の良い院長先生が場所を変えて、違う地域で院を新しくオープンさせるという事が稀にあります。
すると、繁盛していた院の院長先生が運営しても、来院人数や売り上げが減るという事があるのです。
どうやら、時代の流れや地域性、院の開院場所など。
様々な変化により院運営は変わってくるようです。
ですが、それでも上手い先生は、どこへいっても院を繁盛させられたりもします。
『会社のノウハウ+院長の実力』
この2つがあって、初めて院運営がうまくいくのかも知れません。
これらに比べて、個人でやっている鍼灸院や接骨院で働くメリットは一体、何になるのでしょうか?
将来開業を考えているのだとしたら、個人で運営している鍼灸院や接骨院で働いてみる事も良いでしょう。
その理由は3つ。
それぞれについて考えていきましょう。
個人でやっている鍼灸接骨院先生は、施術にブレがないです。
また、デメリットでもありますが、安定した生活を送る為に技術向上の努力を欠かさない方も多いです。
転勤などもない為、1つの技術を集中して学べる事も多いでしょう。
ただ、ここでも注意しなければならないポイントがあります。
『院長と馬が合わない場合、長期間一緒に働く事が難しいという事』
働く場所が何ヵ所かあれば、院長と性格が合わない場合、他の院への転勤希望を出せば終わりです。
ですが個人の場合、院長と合わなければ、辞職しなければならないなんて事も考えられます。
個人の性格によるでしょうが、「辞めたいです」という言葉は言いづらいものです。
研修期間を設けている院などで、今後院長と長くやっていけるかを、調べてみた方が良いでしょう。
独立するという事は、ある程度「自分でやっていける」という手応えがあったからでしょう。
鍼灸接骨院が乱立する中、そう思えるにはそれなりの理由があるはずです。
その主なる理由に技術力があります。
独立している先生に多くは、修行して分院長を経験し、ある程度の成功体験がある事が多いです。
そして、それに加えて大手とはまた違う、『個人で食っていく術』を学んでいます。
この方法は、時代と共にその方法が変わります。
『治療技術+個人で食っていく術』を学べるのは、今後役に立つ方法となる事でしょう。
開業を考えているのであれば、最初は皆さん個人開業者です。
その院運営は、個人でやっている鍼灸接骨院に、限りなく近いものになります。
今は資金も借りやすいので、最初から頑張ってスタッフを雇って、良い立地に院を立て、治療機器にもこだわる。
そんな事も出来るかも知れませんが、それを行うには勇気と、入念な事業計画書が必要です。
大概は、少しずつ院を充実させていく事が多いはずです。
そんな時にモデルになるのが、やはり個人経営の鍼灸接骨院です。
極力無駄を省いて、その代わりに充実させるポイントを持つ。
個人院の場合、ここの部分を徹底させています。
大手では在庫管理や、新しい器具の購入など、あまり口うるさく言われません。
大手のように好き勝手に運営していると、後々痛い目をみます。
税理士になる必要はありませんが、ある程度、税に対しての知識は必要になってきます。
小さい院だから分かるお金の流れ。
開業した時の力強い経験になる事でしょう。
今回のポイントはこちら。
『将来、鍼灸師として仕事内容にこだわりたいなら、求人から吟味しよう』
その1つの方法として、大手鍼灸接骨院会社と個人院。
この2つを比較して、良いところや悪いところ。
そして注意点などをご紹介させて頂きました。
しかし、今回ご紹介させて頂いたポイントは、大手会社と個人院の両方を経験した、僕個人が思うポイントになります。
なので、当てはまらない方も多いかも知れません。
僕の場合は、鍼灸師として仕事内容にこだわって開業したい。
という思いが強く、色々遠回りをしました。
業界大手の会社で勤めた時の貯金は開業できる程でしたが、その費用を短期留学の費用に当て、帰国した時にはスッカラカンでした。
その後、就職しましたが給料が激減したので、開業資金を貯める為に、休みの日はマンガ喫茶で夜12時近くまでアルバイトした経験もあります。
同期には早々と開業して、何店舗も経営しているという人もいましたが、じっと我慢して働き続けました。
しかし幸運にも、この業界に入った時から、良い院長の下でしか働いた事がありませんでした。
なので、鍼灸師として仕事内容にこだわりたいという、そのテンションを保つことが出来ました。
最終的に、求人の良し悪しを決めるのは、その院の院長が良い先生かどうかにかかっています。
鍼灸接骨院の数だけ、院長がいます。
ひと昔と比べてその数は何倍にも、何十倍にもなる事でしょう。
当たり外れが大きくなってくるかもしれません。
若い先生が少しでも良い院長にめぐり逢えるように、僕なりの考えを書いてみました。
将来の為にも、就職先は妥協しないで、色々探していく事をおすすめします。
良い師匠に巡り会えるように頑張って下さい。
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