管理柔道整復師というものを、ご存じでしょうか?
管理をいう名前から推測すると、何かを管理しそうな役どころということは、イメージしやすいと思います。
早い話、整骨院の院長のことを管理柔道整復師といいます。
院長になると当然、施術以外にも、様々な事を行わなければならなくなります。
通常業務に加えて、事務作業を行うことは大変です。
しかし、これらを怠ってしまうと、院が潰れてしまいます。
スタッフとして、患者さんの施術だけを行えば良かった時と比べると、責任が重くなってきます。
このように管理柔道整復師は、院の全責任をとる責任があるわけです。
しかし実は、もう1つ重要な役職があるのです。
それは、整骨院の開設者。
この2つ、何が違うのかというと、次のようになります。
【管理柔道整復師と開設者の違い】
管理柔道整復師になるには、柔道整復師という免許が必要です。
しかし、開設者になる条件として免許は必要ではありません。
開設者になるには、特別必要なものはないのです。
いってしまえば、個人ではなく法人でも良いのです。
なので、柔道整復師を雇い、開設者として整骨院を運営する法人は多いです。
最近は届け出上、法人が管理柔道整復師に開設者も兼任させるケースも多くなってきています。
そうなってくると法律上は、管理柔道整復師が、院の全責任を担わなければならないわけです。
このように、管理柔道整復師には様々な役割があるのですが、この管理柔道整復師になるには、主に2つの方法があります。
もちろん、それぞれメリットと、デメリットがあるわけです。
雇われて開業する場合のメリットとして、比較的早い段階で人気整骨院にする事が可能です。
なぜなら、その為のノウハウを、オーナーが持っているからです。
ご自身で開業される場合。
余程運が良くない限りは、一定の人数の患者さんが来院されるまでに、ある程度努力は必要になってくるでしょう。
これらの事を考慮した結果。
どちらが安定した生活を送っていけるのかというと、
法人などに雇用されて、管理柔道整復師業を行っている場合
でしょう。
しかし、それは本当なのでしょうか?
それを調べる為に今回は、雇われの管理柔道整復師の給料を題材にします。
整骨院には、どのような配分でお金が入ってくるのかを調べてみましょう。
収入配分を調べてこれから先、柔整師としてどのように生きていけばよいのか?
を考えていきたいと思います。
生きていく為に、一緒に柔整師の未来について考えていきましょう。
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かなりの幅があります。
患者さんがたくさん来院されている院の院長の場合。
雇用されていたとしても、月で100万円以上の給料を貰えます。
しかし、患者さんの来院が少ない院の院長の場合。
月の給料が30万円もいかない場合もあります。
しかも、会社によっては、管理柔道整復師契約を結ぶと、社会保険への加入が出来なくなる場合もあります。
社会保険は、保険の支払う金額の半分を会社が負担してくれるというもの。
なので、雇われ人にとって、とてもうれしい制度です。
管理柔道整復師になると、管理柔道整復師手当によって、給料が上がる事が多いです。
すると必然的に、保険料も上がってきます。
ゆえに、社会保険に加入出来ないとなると、お財布には大打撃なわけです。
柔道整復師の給料の平均は、初任給で20万~25万程度が多いです。
運悪く、暇な整骨院の院長になってしまうと、
このようなデメリットが出てきてしまうわけです。
下手をするとスタッフとして働いているよりも、給料が少なくなる可能性もあるのです。
ただ、今回は給料の多い、少ないではなく。
『どのような収入配分で、給料が支払われるのか?』
という観点から、柔道整復師の将来を推測していきたいわけです。
なのでまずは、整骨院の売り上げについて、調べていきましょう。
整骨院の売り上げ配分は、次のようになっています。
この内、メインの売り上げになってくるのが、こちら。
療養費の保険者負担分
柔道整復師でも、このあたりの法規に詳しくない方もいるかもしれません。
簡単に復習していきましょう。
整骨院では、次のケガの施術については保険を使う事が許されています。
不運にもケガをしてしまい、整骨院で施術を受ける場合。
本来であれば、患者さんは全額実費でその施術料を支払う事になっています。
そしてその後、患者さん自ら保険者(組合や協会)に
「整骨院で施術を受けました」
と申告すると、保険者から決められた金額が、払い戻されるのです。
この払い戻されるお金の事を、
『療養費』
と、いいます。
ですが、患者さんでこのような方法をとり、整骨院の施術を受けている方、見た事ないですよね?
実は柔道整復師の場合、特別な方法で療養費を申請する事が認められているのです。
整骨院で施術を受ける度に患者さんが、いちいち保険者に自己申告するのは、患者さんの負担になってしまいます。
この負担を軽減するために、
『柔道整復師が患者さんの代わりに、療養費の申請を行っても良いですよ』
というもの。
これが、『受領委任』です。
この受領委任の制度を使う為に、
これらを行う事を条件に、患者さんは1割~3割の負担で、整骨院で施術を受ける事が出来るわけです。
では話を戻して。
整骨院の売り上げはどのような配分になっているのかを、調べてみましょう。
今回は、法人が経営している整骨院の、1か月の売り上げを、例にします。
【法人経営の整骨院1か月の売り上げ】
合計:2,870,957円
このように、保険者から支払われる療養費が、収入の半分を占めます。
いかに、ケガで悩んでいる患者さんが多いのかという事の現れでもあります。
そして実際に、管理柔道整復師にいくら払われるのかというと、こちら。
管理柔道整復師の給料:413,786円
所得税が、8,000円程度引かれます。
大体、売り上げの15%が支払われるわけです。
ボーナスは出ない事も多いです。
ここまでは、大体30代の平均年収と同じ。
ですが、所帯を持っている方で、管理柔道整復師契約の為に、社会保険に加入できない会社の場合。
ここから、以下の税金が引かれます。
【4人家族だった場合引かれる保険料】
所得税を引いた給料が、大体405,000円になります。
これらを引くと、大体328,000円の手取りになります。
十分に生活できる給料です。
しかし、社会保険を考慮した場合。
年齢や環境により変わりますが、平均的なサラリーマンの収入よりも、若干低く安くなってしまうかも知れませんね。
僕がこの業界に入ってから、もう随分経ちます。
入った当初から、整骨院では保険が使えなくなるといわれてきました。
しかし、まだ使えています。
なぜ使えなくなると言われているのか?
理由を想像してみて下さい。
いつかは、今回ご紹介したような整骨院のあり方に、変化がくるはずです。
例えば、整骨院で保険が使えなくなった時がくるとします。
すると、売り上げの半分はなくなってしまうわけです。
その時に、どのように行動していきますか?
社会情勢が悪化し、整骨院が健康保険取り扱いが出来なくなった場合。
どのように行動しますか?
雇われていれば、会社が助けてくれるのでしょうか?
売り上げが減っても、同じ額の給料を貰える事は出来るのでしょうか?
万が一会社を放り出された場合、1人でも生きていける力を養えているのでしょうか?
会社に甘えて、リスク管理が出来ていない場合。
雇用されていても、大変になる事だってあり得るのです。
雇われの管理柔道整復師の場合、月の給料は40万円が平均値ではないでしょうか?
独立した場合は、未知数です。
潰れる事もありますし、大成する場合もあります。
健康保険を使える整骨院では、1か月に1千万円の売り上げがある事も珍しくありません。
しかし、保険が使えなくなった場合。
使えなくならないまでも、保険が適応にならないケースが増えてきた場合。
そんな時、生きていく為に必要になってくる事は、施術へのこだわりや、専門技術です。
僕ら柔道整復師は職人なので、施術へのこだわりが強い方が多いです。
僕の知り合いの柔道整復師に、生理痛を治すのがとても上手い先生がいます。
その先生の院は健康保険の取り扱いがあり、繁盛しているので、余程の事がない限り潰れる事はありません。
なので例え、保険が使えなくなったとしても、生理痛を治す施術だけで患者さんが来院する事は間違いないでしょう。
しかし、繁盛している整骨院であればあるほど、保険者から入ってくる療養費の売り上げも低くなってくるわけです。
今、自分1人で食べていく程度の収入を得るにであれば、それほど難しい事もないでしょう。
しかし、現在雇っているスタッフの給料をまかなうには、また違った努力が必要になってくるのです。
会社や健康保険に甘えて技術を磨く事を怠っていると、痛い目をみる事でしょう。
そんな万が一の事態に備えて、雇われている時代から、自分のオリジナルを作る事をおすすめします。
それが皆さんの財産になり、ピンチを救ってくれるはずです。
これから柔道整復師を目指す方や、管理柔道整復師になろうとしている方。
会社に雇われていようが、いなかろうが、保険だけに頼らずとも生きていけるだけの、技術や知識は必須です。
いざ、1人で生きていくとなると、誰も助けてくれなくなります。
今回は、お金の流れを題材にして色々長々と書いてきました。
しかし、柔道整復師として一番大事な事は次の事です。
患者さんの健康に貢献し、喜んで貰う事。
その為に、今から勉強し、腕を磨き。
患者さんに求められるように、必死に頑張っていきましょう。
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